『次亜塩素酸水』って知っていますか?

あ~…あの除菌に使えるやつでしょ?
と、思った方の中に『次亜塩素酸ナトリウム』を思い浮かべた方もいるのではないでしょうか?『次亜塩素酸ナトリウム』とはハイターやブリーチなどの塩素系漂白剤と言われるものの主成分で、『次亜塩素酸水』とは全く異なるものです。めちゃくちゃ大事なことなので繰り返します。
『次亜塩素酸水』と『次亜塩素酸ナトリウム』は全くの別物です!
じゃあ、『次亜塩素酸水』ってなんなのさ。って思いますよね。次亜塩素酸水とは次亜塩素酸ナトリウムと同じく、ウイルスや菌を除菌できる成分のことです。今ではもう収束したとは言われていますが、あの歴史的パンデミック『コロナウイルス』にも有効であるとされています。
また、電車で通勤されている方や、小さなお子様がいる家庭ですと電車・学校・保育園・幼稚園など人が多く集まる場所から風邪やウイルスをもらってくることが結構あると思います。それを自宅で拡大してしまわないように、帰宅してすぐの手洗いや除菌を徹底していかなければなりません。それならば効果も高く、安全性も高いものが望ましいと思いませんか?
この記事では次亜塩素酸水の特徴と次亜塩素酸ナトリウムとの違い、次亜塩素酸水を日常生活で安全に使うためのポイントをわかりやすく解説します。
次亜塩素酸水の特徴と消毒効果
次亜塩素酸水は『次亜塩素酸(HClO)』を主成分とする酸性の溶液のことです。
次亜塩素酸水には生成方法によって電解型(電気分解で生成)と非電解型(2液混合・粉末・錠剤を水に溶かす)の2つに分類されます。さらに電解型に関してはph値によって3つに分類されます。

使用時の希釈濃度は製品によって異なるため各製品の希釈指示に従って使用してください。希釈しないでそのまま使用できるものもあります。
ウイルス・菌を不活化!花粉などのアレルゲン物質にも
次亜塩素酸は強い酸化作用によってウイルスや細菌を破壊し、無毒化する効果をもっています。また花粉やダニのしがい・フンを分解し無毒化する効果も報告されています。さらに消臭効果も期待できるという万能水溶液です。
その中でも注目すべきはその消毒効果です。ウイルスには大きく分けて2種類のウイルスが存在します。『エンベロープウイルス』と『ノンエンベロープウイルス』です。ノンエンベロープウイルスはやや強いウイルスで、アルコール消毒だけでは倒しきれないことがあります。しかし、次亜塩素酸水であればアルコール消毒では効果の薄いノンエンベロープウイルスにも効果を発揮します。
| エンベロープウイルス | ノンエンベロープウイルス |
|---|---|
| インフルエンザウイルス | ノロウイルス |
| コロナウイルス | ロタウイルス |
| ヘルペスウイルス | アデノウイルス |
| 風疹ウイルス など | ポリオウイルス など |
ウイルスにはカプシドと呼ばれるタンパク質のかたい殻が存在します。その周りをエンベロープという脂質の膜が覆っています。このエンベロープがあるものを『エンベロープウイルス』、エンベロープが無いものを『ノンエンベロープウイルス』として分類します。

このエンベロープは非常に脆く、しっかりとした手洗いやアルコールの消毒などで簡単に破壊できます。エンベロープを破壊されたウイルスはそのまま死滅してしまいます。
しかし、エンベロープを持たないウイルスに関しては、カプシド(タンパク質の層)を破壊しなくては死滅しません。このカプシドは非常に頑丈で手洗いやアルコールでは破壊することが難しくなっています。そこで有効なのが『次亜塩素酸水』や『次亜塩素酸ナトリウム』といった塩素系の除菌水となります。
手に入りやすく除菌効果も高い次亜塩素酸ナトリウムと比較してみました。
| 次亜塩素酸水 | 次亜塩素酸ナトリウム水 | |
|---|---|---|
| 液性 | 酸性 | アルカリ性 |
| 殺菌力 | 高い | 高い |
| 残留性 | 低い | 高い |
| 使用期限(希釈前) | 短い | 長い |
| 安全性 | 高い | 低い |
| 空間噴霧 | 可能(製品による) | 不可 |
| 装備 | 不要 | ゴム手袋・ゴーグル |
残留性が低いので安心・安全
次亜塩素酸水は有機物(汚れなど)に触れると水と微量の塩に分解されます。この次亜塩素酸水が分解される過程でウイルスや菌、ニオイの元なども一緒に分解します。分解後に残るのが水と微量の塩なので、触れても手荒れなどの心配が少ないことから安全性が高いという評価を得ているのです。
また、小さな子供やペットなどが消毒したものに触れたり間違って口に入れてしまっても、成分が残っていませんので安心という点でもポイント高いですね。
安全性と使用上の注意点
残留性が低く安全性が高いとはいえ、使用方法を誤ると危険が生じる可能性もあるため注意が必要です。
次亜塩素酸ナトリウムとは別物!
しつこいようですが『次亜塩素酸水』と『次亜塩素酸ナトリウム』は名前が似ているにも関わらず全くの別物です。間違って使用してしまうと思わぬ事故を起こしてしまう可能性があります。
次亜塩素酸水は酸性の溶液に対し、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性の溶液となります。『まぜるな危険』という文がパッケージに記載されているのを見たことはありませんか?次亜塩素酸ナトリウムに酸性のものを混ぜると有毒なガスが発生します。つまり同じものだと勘違いし『次亜塩素酸水(酸性)』と『次亜塩素酸ナトリウム』を混ぜるとこの有毒な塩素ガスが発生してしまいます。
過去には次亜塩素酸水と間違って次亜塩素酸ナトリウム水を加湿器に入れて空間噴霧をおこない、吐き気や咳込みなどで救急搬送されたこともありますので、この記事では『次亜塩素酸水』と『次亜塩素酸ナトリウム』が全くの別物だということだけでも覚えて帰っていただくことをおすすめします。
空間への噴霧は推奨されていないが…
加湿器などを使用して空間全体を消毒することも可能!ではあるのですが、厚生労働省は人がいる場所で次亜塩素酸水を加湿器などで空間に噴霧することは推奨していません。この文だけを見ると厚生労働省は空間噴霧を全面的に禁止しているように思えますが、その後の補足で『推奨しない』とは『全面禁止』しているわけではなく、安全性情報や使用上の注意事項等を守って適正に使用することを示しているもので、製造販売業者等により提供された正しい情報をもとに、消費者にご判断いただくものとしています。
つまり、空間噴霧ができるようにph値や濃度管理をし、第三者機関などを含み実験などを繰り返し安全性を確認できたもの。そしてその情報を開示提供している製造販売業者のものであれば、自己判断で使用できるということになります。
また、加湿器で使用する際は霧が直接人に当たらない位置に設置する。金属を腐食させる恐れもあるので家電などの金属を使った製品の近くで継続的に使用することは避けたほうが無難です。
使用期限と保管方法に注意
- 次亜塩素酸水は非常にデリケートな水溶液で、保管方法を間違うとその効果は失われてしまいます。これを不活化といいます。不活化の原因としては次の通りです。
- 紫外線:直射日光などの影響によって次亜塩素酸水の効果が失われてしまいます。遮光性のあるボトルに入れるか光の当たらない場所に保管してください。
- 温度:次亜塩素酸水は温度によっても効果が薄まってしまいます。温度が高ければ高いほど不活化は加速していきます。冷暗所での保存が望ましいです。
- 有機物(汚れ)に触れる:次亜塩素酸水は有機物に触れることで分解されます。これは次亜塩素酸水が殺菌・消臭をする際に必要な効果ですが、次亜塩素酸水を入れるスプレーボトルや加湿器が汚れているとその時点で効果が薄まってしまいますので、清潔な状態で使用してください。
- 時間:しっかりとした保存環境でも時間の経過でその効果は徐々に失われていきます。そのため各製品ごとに使用期限が設定されていますので、製品の取り扱い説明書やホームページなどでしっかりと確認することをおすすめします。
次亜塩素酸水の正しい使い方
次亜塩素酸水を有効に使うための具体的な使用方法を紹介します。基本的なスタイルはスプレーボトルに入れて除菌・消臭したい箇所にスプレーするスタイルか、加湿器に入れて空間噴霧するスタイルとなります。
スプレーで日常のウイルス対策や除菌に
ドアノブ・テーブル・子供のおもちゃ・手すり・キッチン・浴室など:目に見える汚れがある場合は事前に汚れを拭き取り、除菌したい対象にスプレーする。調理前や後の除菌にも使えます。入浴後、カビの発生を予防するために気になる箇所にスプレーしておくのも効果的です。
消臭に使用
ソファ・カーテン・ぬいぐるみ・トイレ・洋服・靴など:消臭したい対象に直接スプレーする。外に干せない大型のものや直接肌に触れるものにも使用できます。
花粉などのアレルゲン対策に
花粉・ダニのしがいやフンなど:花粉が付着しそうな箇所や布団などのダニのしがいが気になる箇所にスプレーする。花粉やダニのたんぱく質を分解してアレルゲンを低減させる効果があります。
加湿器に入れて使用
加湿器に入れて部屋全体を効率よく除菌・消臭することも可能です。使用できる加湿器は『超音波式』の加湿器のみとなります。加熱式の加湿器ですと次亜塩素酸水が高温となり、効果が失われてしまうため意味を成さなくなってしまいます。
空間除菌とは:空間除菌とは空気そのものを除菌することではなく、噴霧した次亜塩素酸水が空間の壁や床などの対象に付着することで除菌をするという意味です。
まとめ
ここまで次亜塩素酸水について紹介してきました。次亜塩素酸水がいかに優秀な除菌水なのかがわかっていただけたのではないでしょうか?スプレーでの除菌活動もいいですが、次亜塩素酸水の空間噴霧によって衛生環境を整えれば、ストレスなく続けることができておすすめです。希釈せずそのまま使用できる製品もありますので、そちらの製品を使えばより簡単に衛生的な環境を保ち続けられます。
- 人生がかかった受験を控えた学生さん
- 大事な仕事で休めない会社員さん
- 花粉症やハウスダストのアレルギーで毎日憂鬱な方
- 風邪などを引きやすいお子さんなど
次亜塩素酸水の空間噴霧で日々の不安を一つ取り除いて、ストレスの少ない生活に近づけていきましょう。
最後に注意点の見直しです!
- 次亜塩素酸ナトリウムとは別物なので混同してはならない。←重要
- 製品ごとの希釈濃度を守る。
- 人体に直接噴霧しない。
- 金属製品への継続的な噴霧は避ける。
- 保存環境や使用期限を守る。
これらの事項を守って安心安全な衛生環境を築いていきましょう!



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